Safety Philosophy

捨てる安心まで、
つぶすくんの責任です。
リチウムイオン電池混入時の4段防護。

PETボトル回収機におけるリチウムイオン電池の誤投入は、業界共通の最も重要な安全課題です。Boxernet は「発火させない・拡大させない・自然に鎮める」という3段階の優先順位を設計の中心に据え、コストではなく確率と物理に基づいた防護体系を構築しました。

Design Philosophy

「消火する」より「発火させない」

回収機の防火対策は、消火器や窒素ボンベなど能動的な仕掛けに目が行きがちです。しかし統計的に火災を防ぐ最大の効果は、そもそも電池を機内に入れないこと、入っても燃え広がらないことにあります。Boxernet は次の優先順位で投資配分を決定しています。

1. 発火させない (Prevention)
2. 拡大させない (Containment)
3. 消火する (Suppression) — 上位ほど発生確率を下げる効果が大きく、コスト対効果に優れる。

同サイズの圧縮機構では、能動消火 (窒素パージ・防爆ベント・専用バックアップ電池等) は1台あたり約4万円の追加コストになります。一方、入口での検知ゲートと多層封じ込めだけで Li-ion 1セル相当の熱暴走エネルギー (約11 kJ) を物理的に自然鎮静できることが評価で確認できました。

つぶすくんは能動消火を意図的に廃し、検知と封じ込めへ資源を集中することで、より安全で、より導入しやすい機械を実現しています。

発火させない Prevention 拡大させない Containment 消火する Suppression (本機では非搭載) 投資配分
4-Stage Defense

4段で守る。
万一発火しても、外には出さない。

1段目で投入を拒む、2段目で物理的に閉じ込める、3段目で異常を即座に検知し動かさない、4段目で延焼を遮る。すべての段は独立して機能するよう設計されており、メイン基板が停止していても主電源は遮断されます。

つぶすくん TSB-P2 (前面断面) 投入口 金属検知 + 重量チェック 1 投入口拒否 圧縮室 SUS316L t=2.0mm + セラミック t=6mm + SPCC t=2.0mm 外側 SPCC セラミックファイバ SUS316L (耐熱350°C) 2 T T 熱電対 (120°C停止) 煙センサ 電流監視 (モータ拘束) 3 残渣カートリッジ 60 L (PET圧縮済) SUS網ライナ 廃液 カートリッジ 8 L 独立区画 セラミックブランケット t=5mm 4 延焼遮断 パッシブ 圧力リリーフ (背面上方排気) ASA樹脂 通信窓 凡例 T = 熱電対 (圧縮室温度) 煙 = 光電式煙センサ 独立区画隔壁
1

投入口で識別・拒否する

最も発火確率を下げる主防御線 / Prevention

主防御線
投入口 渦電流コイル ロードセル PET OK 25g Li-ion 拒否 45g+

仕組み

投入シュート内に組み込んだ渦電流式金属検知センサと、ロードセルによる重量チェックの二重判定で、リチウムイオン電池を機械的に拒否します。検知した瞬間にソレノイドゲートが閉鎖し、LED アラームと管理アプリへ通知が送られます。

具体仕様

  • 渦電流コイル感度: 直径10mm以上の導電体を検知 (18650 単セルも捕捉)
  • 重量判定: PET 空 25±10g vs Li-ion 18650セル ≥45g で識別
  • 検知時の動作: ゲート閉鎖 + LED赤点滅 + LTE-M経由でアプリ即時通知
  • 利用者啓発: 「Li-ion投入禁止」表示ステッカー標準添付
2

万一通り抜けても、閉じ込める

3層構造の物理的封じ込め / Containment

封じ込め
発火 SPCC 溶融1500°C セラミックファイバ 耐熱1000°C / t=6mm SUS316L 耐熱350°C / t=2mm

仕組み

圧縮室は内側から SUS316L (耐熱350°C) → セラミックファイバ (耐熱1000°C) → SPCC隔壁 (溶融1500°C) の3層で構成。Li-ion 1セルの熱暴走エネルギー (約11 kJ) による圧縮室内理論最高温度 約450°C に対して、層構造全体で十分な耐熱マージンを確保しています。

具体仕様

  • 一次封じ込め: SUS316L ライナ t=2.0 mm (耐熱350°C)
  • 断熱層: セラミックファイバ t=6 mm (耐熱1000°C, 熱伝導率0.06 W/m·K)
  • 二次封じ込め: SPCC隔壁 t=2.0 mm + 防火塗装
  • パッキン: シリコン難燃グレード UL94 V-0
  • 外装: SUS304 t=2.0 mm + 焼付塗装 RAL9005
3

異変を察知し、動かさない

三重独立センサと強制電源遮断 / Detection

早期検知
HW OR論理 主電源強制遮断 熱電対 120°C 1.5%/m 電流 130% 主電源リレー OFF

仕組み

圧縮室温度・煙・モータ電流の3系統を独立に監視。いずれか1つでも閾値を超えると、ハードワイヤード OR 論理によって主電源リレーが強制遮断されます。メイン基板 (ESP32-S3) のソフトウェアに依存しない構造のため、MCU 停止時も確実に動作します。

具体仕様

  • K型熱電対 ×2: 圧縮室上下に配置, 80°C で警告/減速、120°C で緊急停止
  • 光電式煙センサ: 排気ダクト直上, 感度 1.5%/m 遮光
  • シャント電流監視: モータ拘束検知, 定格の130%で遮断 (異物噛み込み)
  • HW OR論理: 任意1系統作動で主電源リレーをハードウェアレベルで遮断
  • 通知: 遮断と同時に LTE-M 残電力でアプリへ異常通報送信
4

延焼させず、自然に鎮める

受動的封じ込めと延焼遮断 / Mitigation

延焼遮断
発火 セラミック隔壁 PET残渣 延焼遮断 廃液 独立区画 ↑排気

仕組み

圧縮室と残渣カートリッジの間にセラミックブランケット隔壁を、廃液カートリッジには独立金属隔壁を配置。万一の発火時もPET残渣・廃液側への延焼を物理的に遮ります。内圧上昇分は背面上方のパッシブ圧力リリーフからラビリンス構造を経由して静かに排気され、投入口側に火炎が噴出する構造を作らせません。

具体仕様

  • パッシブ圧力リリーフ: ラビリンス式ベント, 開口60 cm², 背面上方排気
  • セラミックブランケット隔壁 t=5 mm (耐熱1000°C): 残渣との間に配置
  • 廃液独立区画: SPCC隔壁 t=2.0 mm でPET残渣区画と分離
  • 排気フィルタ: SUSメッシュ + 活性炭で煙・有毒ガス吸着
  • 自然鎮静: 酸素供給遮断 + 熱放散により約180秒で温度低下開始 (シミュレーション値)
Engineering Rationale

数字で説明できる、安全。

「能動消火を載せない」という判断は、感覚ではなく物理計算に基づいています。Li-ion 1セルの熱暴走エネルギーと、当社の3層封じ込め構造の耐熱性能を比較した結果、構造的に貫通しないことが確認できました。

11kJ — 発火源の最大エネルギー

18650形リチウムイオン1セル (3 Wh) の熱暴走時放出エネルギーは約11 kJ。圧縮室容積 (PET圧縮後) 8L 内に放出された場合の理論最高温度は約450°Cと算出されます。

1500°C — 構造の最終耐熱

外側SPCC隔壁の溶融温度は1500°C。中間層のセラミックファイバ (1000°C) と内側SUS316L (350°C) を合わせた3層構造は、想定発火温度に対して十分なマージンを持ちます。

180秒 — 自然鎮静までの想定時間

圧縮室を密閉した状態で酸素枯渇と熱放散が進むため、検知から自然鎮静開始まで約180秒。能動消火がなくても延焼条件は成立しません。

3系統 — 独立した防火検知

熱電対・煙センサ・電流監視の3系統は完全に独立。各系統が故障してもバックアップとして機能し、HW OR論理で主電源を強制遮断します。

主な防火部材の仕様

部材仕様耐熱性能役割
圧縮室ライナSUS316L t=2.0 mm, レーザー溶接350°C一次封じ込め
断熱層セラミックファイバ t=6 mm, 熱伝導率0.06 W/m·K1000°C熱伝播抑止
外側隔壁SPCC t=2.0 mm + 防火塗装1500°C (溶融)二次封じ込め
残渣ライナSUS網 #20 + 防火塗装800°Cカートリッジ防護
隔壁ブランケットセラミックブランケット t=5 mm1000°C延焼遮断
パッシブベントラビリンス式, 開口60 cm² (背面上方)内圧逃がし
排気フィルタSUSメッシュ + 活性炭600°C煙・有害ガス吸着
ガスケットシリコン難燃 UL94 V-0200°C連続気密 + 高温耐性

つぶすくんの安全設計、もっと詳しく

本ページでご紹介した4段防護の詳細仕様、シミュレーション根拠、認証取得状況をまとめた技術資料 (PDF) をご用意しています。導入検討中の自治体様・事業者様には個別説明会も承ります。

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